水質

水質とは

水質とは、純粋の水(H2O)以外に不純物を含むことによって生ずる、水の物理的、化学的及び生物学的な諸性質をいいます。
純粋の水は、水素と酸素が結合したものですが、自然界の水は、さまざまな不純物を含んでいます。たとえば、雨水には、窒素、酸素、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれます。地下水には、このほかにケイ酸、重炭酸、鉄、マンガンなどが含まれます。さらに、河川や湖沼の水になると、溶解物質に加えて粘土粒子や細菌、微生物などが含まれます。

河川、湖沼、貯水池、海域に存在する「表流水」並びに「地下水」の適正な水質管理を行うため、水質調査(水中の化学的、生物化学的、細菌学的性状、それらに関与する物理的性質の状態を明らかにする調査)が行われています。調査結果は、水質の予測を含む対策の立案などに利用されています。

*適正な水質管理
次のような視点から、適正な水質管理を目指しています。

本サイトで提供している水質情報

国土交通省水管理・国土保全局、(独)水資源機構、一部の都県が設置した水質自動監視装置で1時間ごとに観測されるリアルタイムの水質データを提供しています。

観測所の数については『「川の防災情報」の提供情報』をご覧ください。

観測項目は、水温、pH、DO、導電率、濁度、アンモニアイオン、塩分濃度(あるいは塩化物イオン濃度)、CODです。

水質自動監視装置

水質自動監視装置は、工場などの汚濁源の常時監視や、水質異常時の緊急対策などのため、主要水系の主要地点に設置されています。「水質モニター」とも呼びます。
水辺に設置された観測室内に置かれ、採水ポンプで連続採取(無人)された試料水について、連続的に測定・記録し、テレメータによってデータを管理する事務所に伝送しています。

項目 解説
水温
(℃)
水温は、水中に溶解している物質の化学的変化や生物の活動と密接な関係があるので、水生生物の生息環境や河川の自浄作用に大きな影響を与え、 水質とも密接に関係しています。
pH pH は、水の酸性・アルカリ性の度合いを表す指標で、 pH が7 のとき中性で、それより大きいときはアルカリ性、小さいときは酸性になります。
河川水では通常7 付近ですが、海水の混入、温泉水の混入、流域の地質(石灰岩地帯など)、人為汚染(工場排水など)、植物プランクトンの光合成(特に夏期)などによって、酸性あるいはアルカリ性に振れることがあります。
河川での pH の環境基準値は類型別に定められており、「6.5(あるいは6.0)~ 8.5」となっています。
DO
(mg/l)
DO は、Dissolved Oxygen の略称で、水中に溶けている酸素の量です。
酸素の溶解度は、水温、塩分、気圧等に影響され、水温が高くなると小さくなります。 DO は河川や海域の自浄作用、魚類などの水生生物の生活には不可欠なものです。一般に魚介類が生存するためには3mg/l 以上、好気性微生物が活発に活動するためには2mg/l 以上が必要で、それ以下では嫌気性分解が起こり、悪臭物質が発生することがあります。
河川でのDO の環境基準値は類型別に定められており、「2 mg/l 以上」(C類型)~「7.5 mg/l 以上」(AA類型)となっています。
導電率
(μS/m)
電気伝導度ともいいます。電気の流れやすさを示す数値で、水中に含まれるイオンの量の目安になります。河川での平均的な値は100μS/cm程度です。
濁度
(度)
濁度は、水の濁りの程度を表すものです。濁りの原因となっている物質には、粘土性物質(ケイ酸塩が主体)、プランクトン微生物、有機物質などがあり、濁りとなる粒子の粒径は、0.1 ~数百μm のものがほとんどです。
水道水質基準では「2度以下」と定められています。
アンモニアイオン
(mg/l)
アンモニア性窒素は、主として尿や家庭下水の有機物の分解と工場排水に起因するもので、それらによる水質汚染の有力な指標となります。また富栄養化の原因ともなります。
このアンモニア性窒素は、水中では大部分アンモニアイオンとして存在します。
塩分濃度
(‰)
海水の塩分濃度は、30~35‰(パーミル)、体内の塩分濃度9‰です。
塩分濃度と塩化物イオン濃度はほぼ比例関係にあり、換算式は次のとおりです。
塩分濃度S(‰ )= 1.80655×塩化物イオン濃度(mg/l)×10- 3
塩化物イオン濃度
(mg/l)
塩化物イオンは、海水中に約19,000mg/l 、河川水中には一般的には数mg/l 含まれています。海岸地帯では海水の浸透、風による巻き上げ等の影響で、河川水中の濃度が高くなることがあります。それ以外で塩化物イオンが増加した場合、家庭排水、工場排水、し尿等の混入汚染が考えられ、人為的汚染の有無を判断する材料となります。
COD
(mg/l)
COD は、Chemical Oxygen Demand の略称です。水中の有機物などを酸化剤で酸化するときに消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したものです。有機物のおおよその目安として用いられます。
COD は、河川では環境基準値がなく、湖沼、海域では定められています。

採水観測

水質は、自動監視装置によるもののほか、人力で採水した試料を試験室などに運搬して、別途定められた手順で分析するという方法で観測が行われています。むしろ、この方が一般的な水質調査のやり方と言えます。
この方法による水質調査地点は、a) 水質汚濁に係る環境基準地点、b) 公共用水域の水質を総合的に把握できる地点、c) 治水、 利水計画上の基準地点、d) 流水を利用している重要地点などが選定されます。国土交通省が全国109の一級水系で実施している水質調査地点は、約1,000地点あります。
観測測定項目は、環境省が告示している全公共用水域の水質汚濁に係る環境基準において定められている項目などで、原則として1月に1回観測されています。
これらの観測データは、水文水質データベースで公開されています。

*水質汚濁に係る環境基準

  1. 人の健康の保護に関する環境基準
    カドミウム、全シアン、鉛、六価クロムなど27項目
  2. 生活環境の保全に関する環境基準
    ・河川: pH、BOD、SS、DO、大腸菌群数など 8項目
    ・湖沼: pH、COD、SS、DO、大腸菌群数など10項目

新しい水質指標

人と河川・湖沼のふれあいや生態系への関心など、多様な視点で河川・湖沼が捉えられるようになってきている現在の状況を鑑み、BOD(河川)やCOD(湖沼)だけでなく多様な視点で評価できるように導入された指標です。
住民との協働による測定項目及び河川等管理者による測定項目からなり、平成18年より全ての一級河川を対象に実施しています。さらに、湖沼についても、平成22年より調査を実施しています。調査結果は、毎年、国土交通省が「全国の一級河川の水質現況」で公表しています。

新しい水質指標(河川)の評価の視点及び評価項目は、次のとおりです。

①「人と河川の豊かなふれあいの確保」

ゴミの量、透視度、川底の感触、水の臭い、糞便性大腸菌群数
(水質に関係する分かりやすい指標)

②「豊かな生態系の確保」

DO(呼吸)、アンモニア性窒素NH4-N(毒性)、水生生物の生息
(水生生物の生息・生育・繁殖に関係する指標)

③「利用しやすい水質の確保」

トリハロメタン生成能、2-MIB、ジオスミン、NH4-N
(上水利用・農業用水・工業用水・水産用水の利用に関係する指標)

④「下流域や滞留水域に影響の少ない水質の確保」

T-N、T-P
(下流部の富栄養化や閉鎖性水域(ダム・湖沼・湾)の富栄養化への影響に関係する指標)